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(七十一)

【解読文】

   一 象昨十三日当御地江着、同夜当町ニ
     止宿、今朝発足、町筋無滞相通り申候、
     今夜片上止宿之筈ニ御座候、御国境越
     申上、猶又委細可致言上候、
     栄光院様ニも森下口ノ町屋ニ而御見物
     被遊候
   一 長崎御奉行渡部出雲守殿状箱昨日御国
     境ニ而早速相渡シ候処、御同人家来之由、
     古市左大夫ヘ高木作右衛門内小舳田八左衛門、
     福井雄介、唐通事清川永左衛門より之
     返書状箱雨紙包ニ而壱箱、并江戸
     御留守居共ヘ右三人より返書壱通
     昨夜差出候ニ付、江戸御留守居共ヘ此御
     飛脚ニ遣候間、早々江戸ヘ御通シ可有之候、
     右之趣可被達御耳候、為其此御飛脚
     差立候故、外御用ハ不申進候、恐惶謹言


【読み下し文】

   一 象昨十三日当御地へ着(ちゃく)、同夜当町に止宿
     (ししゅく)、今朝発足(ほっそく)、町筋滞(とどこお)
     り無くあい(相)通り申し候(そうろう)、今夜片上
     (かたかみ)止宿のはず(筈)にござ(御座)候、御国境
     越し申し上げ、なおまた(猶又)委細言上(ごんじょう)
      致すべく候、栄光院(えいこういん)様にも森下口
      (もりしたぐち)の町屋(まちや)にて御見物遊ばされ候
   一 長崎御奉行渡部出雲守(いずものかみ)殿状箱昨日
     御国境にて早速あい渡し候ところ(処)、御同人
     家来の由(よし)古市左大夫へ、高木作右衛門内
     小舳田(おへだ)八左衛門・福井雄助(介)、唐通事(つうじ)
     清川永左衛門よりの返書状箱雨紙包みにて一(ひと)
     箱、並びに(并)江戸御留守居(るすい)どもへ右三人
     より返書一通昨夜差し出し候につき、江戸御留守居
     どもへこの(此)御飛脚に遣わし候あいだ(間)、早早
     (そうそう)江戸へ御通しこれあるべく候、右の趣
     (おもむき)御耳に達せらるべく候、そのため(為)この
     御飛脚差し立て候ゆえ(故)、ほか御用は申しまいら
     (進)せず候、恐惶謹言
(きょうこうきんげん)