(七十四)
【解読文】
参着、御札致拝見候、
殿様倍御機嫌能無御滞御旅行被遊、恐悦
奉存候、其御地無御別条
栄光院様御安泰被成御座候、出羽殿御勇
健御座候由、奉恐悦候
一 象去ル十三日其御地ヘ着、同夜岡山止宿、
翌朝同所発足、町筋無滞相通申由、
同十四日夜片上止宿之筈ニ御座候旨、御国境
越シ申候、猶又言上可被成由、
栄光院様ニも森下口之町屋ニ而御見物
被遊候由
一 長崎御奉行渡部出雲守殿状箱、十三日
御国境ニ而早速御渡候処、御同人様家来
古市左大夫ヘ高木作右衛門内小舳田八左衛門・
福井雄介、清川永左衛門より之返書状箱
雨紙包ニして一箱、并江戸御留守居共ヘ右三人より
【読み下し文】
参着(さんちゃく)、御札(さつ)拝見致し候(そうろう)、
殿様ますます(倍)御機嫌よ(能)く、御滞(とどこお)り
無く御旅行遊ばされ、恐悦(きょうえつ)存じたてまつ
(奉)り候、その御地御別条(べつじょう)無く、栄光院
(えいこういん)様御安泰ござ(御座)なされ候、出羽
(でわ)殿御勇健ござ候由(よし)、恐悦たてまつり候
一 象去る十三日その御地へ着(ちゃく)、同夜岡山
止宿(ししゅく)、翌朝同所発足(ほっそく)、町筋
滞り無くあい(相)通り申す由、同十四日夜片上
(かたかみ)止宿のはず(筈)にござ候旨(むね)、御国
境越し申し候、なおまた(猶又)言上(ごんじょう)
なさるべき由、栄光院様にも森下口(もりしたぐち)
の町屋(まちや)にて御見物遊ばされ候由
一 長崎御奉行渡部出雲守(いずものかみ)殿状箱(じょう
ばこ)、十三日御国境にて早速御渡し候ところ(処)、
御同人様家来古市左大夫へ高木作右衛門内小舳田 (おへだ)八左衛門・福井雄助(介)、清川永左衛門より
の返書状箱雨紙包みにして一(ひと)箱、並びに(并)
江戸御留守居(るすい)どもへ右三人より
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