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(七十五)

【解読文】

     返書一通差出申ニ付、江戸御留守居共へ
     此御飛脚ニ被遣候間、早々江戸へ通シ可
     申旨、為其此御飛脚御差立被成候故、外
     御用ハ不被仰聞候旨、
     右御紙面之趣承知仕、則達御耳、御飛
     脚早々江戸へ通申候、恐惶謹言
       四月廿日    池田要人
       
        伊木豊後様
        日置猪右衛門様
     尚々西ノ丸より大津迄御飛脚被遣候へとも、
     此御飛脚出足ニ付、右之便ニハ不被仰聞旨
     致承知候、以上

    象当十五日片上発足、同昼三石御国
    境相越無滞相通申由、尤御達入候ハヽ


【読み下し文】

     返書一通差し出し申すにつき、江戸御留守居(るすい)
     どもへこの(此)御飛脚に遣わされ候(そうろう)あいだ
      (間)、早早(そうそう)江戸へ通し申すべき旨(むね)
     そのため(為)この御飛脚御差し立てなされ候ゆえ(故)
     ほか御用は仰(おお)せ聞けられず候旨、右御紙面の
     趣(おもむき)承知つかまつ(仕)り、すなわ(則)ち御耳
     に達し、御飛脚早早江戸へ通し申し候、恐惶謹言
      (きょうこうきんげん)
                池田要人(いけだかなと)
       四月二十日
      伊木豊後(いぎぶんご)
      日置猪右衛門(へきいえもん)
     尚尚(なおなお)西の丸より大津(おおつ)迄御飛脚遣わ
     され候(そうら)えども、この御飛脚出足(しゅっそく)
     につき、右の便には仰せ聞けられぬ旨承知致し候、
     以上

    象当十五日片上(かたかみ)発足、同昼三石(みついし)
    御国境あい(相)越し、滞(とどこお)り無くあい通り
    申す由、尤も、御達し入れ候わば、