（八十九）
【解読文】
より高畠惣七郎罷帰候
一 備中川部ニ泊候節、高木作右衛門家来象之
裁料人小舳田八左衛門・福井祐介、通詞清川
永左衛門江銀子壱枚宛被下之、象遣吉兵衛・
惣介・半平治・又七四人江金子弐百疋ツヽ、刀刺
二人并小者五人江金子百疋宛被下候
一 片上泊ニ而も右同断
御郡奉行
和気郡江 中川権大夫
一 象通り候節、道筋行列先払御足軽弐人、
次ニ名主・五人組頭、其跡江象、此跡江飼料
才判人二人
飼料いたぶかづら、姫草、枝笹、青麦、
九年母、饅頭、しやうちう、清水
外ニ人足四、五人、不図入用候為、押御郡目付
壱人
一 泊休象之飼料大唐米を粥ニ仕、給させ申候
【読み下し文】
より高畠惣七郎(＊たかはたそうしちろう)まか(罷)り
帰り候(そうろう)
一 備中川辺(かわべ)に泊り候せつ(節)、高木作右衛門
家来象の宰領(さいりょう)人小舳田(おへだ)八左衛門・
福井雄助(祐介)、通詞(つうじ)清川永左衛門へ銀子
(ぎんす)一枚ずつ(宛)これを下され、象遣い吉兵衛・
惣介・半平次・又七四人へ金子(きんす)二百疋
(にひゃっぴき)ずつ、刀差し二人並びに(并)小者
五人へ金子百疋(ひゃっぴき)ずつ下され候
一 片上(かたかみ)泊りにても右同断(どうだん)
御郡(こおり)奉行
和気(わけ)郡へ 中川権大夫(なかがわごんだゆう)
一 象通り候せつ、道筋行列先払い御足軽(あしがる)
二人、次に名主(なぬし)・五人組頭(ごにんぐみがしら)、
その後(あと)へ象、この(此)後へ飼い料裁判(さいばん)
人二人
飼い料 いたぶかずら(葛)、姫草、枝笹、
青麦、九年母(くねんぼ)、饅頭(まんじゅう)、
焼酎(しょうちゅう)、清水
ほかに人足(にんそく)四、五人、ふと入用候ため(為)、
押え御郡目付一人
一 泊り休み象の飼い料、大唐米(たいとうまい)を粥(かゆ)
につかまつ(仕)り、た(給)べさせ申し候