（八十八）
【解読文】
小屋用意申付置候
御郡奉行
上道郡江 山中市左衛門
一 吉井川江も大石平太船先達而廻シ置候へ共、
象船ニ乗不申ニ付、俄ニ大川を両方より
せき寄川幅をせバく仕、土橋を懸、無滞
相渡り申候
御郡奉行
邑久郡江 神屋久次郎
一 十四日之晩片上ニ泊候、御本陣五郎右衛門所ニ
先達而象小屋用意申付置候
一 翌十五日片上出立、三石昼休、此所ニも象小屋
申付置候
一 泊休旅篭一汁三菜念入申付、吸物、酒、肴出候、
泊ニ而ハ夜食温飩、かさの飯、吸物、酒、肴出し候
泊ニ而ハ火廻り申付、宿前ニ板囲ノ番所申付、
番人差出シ申候
一 十五日昼過三石御境を無別条罷越候、同所
【読み下し文】
小屋用意申し付け置き候(そうろう)
御郡(こおり)奉行
上道(じょうとう)郡へ 山中市左衛門(やまなかいちざえもん)
一 吉井(よしい)川へも大石(こく)平太船(ひらたぶね)
先達(せんだっ)て廻し置き候(そうら)えども、象船
に乗り申さずにつき、にわか(俄)に大川を両方より
せき寄せ川幅をせば(狭)くつかまつ(仕)り、土橋を
懸(か)け、滞(とどこお)り無くあい(相)渡り申し候
御郡奉行
邑久(おく)郡へ 神屋久次郎(かみやきゅうじろう)
一 十四日の晩片上(かたかみ)に泊り候、御本陣五郎
右衛門(ごろうえもん)所に先達て象小屋用意申し付
け置き候
一 翌十五日片上出立(しゅったつ)、三石昼休み、この
(此)所にも象小屋申し付け置き候
一 泊り休み旅籠(はたご)一汁三菜(いちじゅうさんさい)
念入申し付け、吸物、酒、肴(さかな)出し候、
泊りにては夜食うどん(饂飩)、かさの飯、吸物、
酒、肴出し候、泊りにては火廻り申し付け、宿前
に板囲いの番所申し付け、番人差し出し申し候
一 十五日昼過ぎ三石御境を別条(べつじょう)無くまか
(罷)り越し候、同所