（八十七）
【解読文】
廻シ置候得共、象船を嫌申由、下筋より申来候
ニ付、幸其節天気好、大川水渇水ニ成申ニ付、
深所を段々埋上ケ浅瀬ニ仕立、無滞相渡り
申候
一 同日昼休、板倉右衛門佐様御領分備中
板倉村ニ休申候
一 備中矢田村江ハ御郡目付井上左平太御
差出シ象之跡を押、岡山万町口迄罷越候
御郡奉行
備中御領分江 西村久五兵衛
同
津高郡江 雀部佐右衛門
同
御野郡江 香川亦左衛門
一 十三日之晩、岡山栄町ニ泊ル
一 十四日、森下口より片上迄御郡目付高畠惣七郎
象之跡押仕罷越候
一 同日昼休上道郡沼村、象小屋ハ先達而用
意申付候、同日一日市村ニも暫ク休申候、象
【読み下し文】
廻し置き候(そうら)えども(得共)、象船を嫌い申す
由(よし)、下筋より申し来たり候(そうろう)につき、
幸いそのせつ(節)天気好く、大川水渇水になり申す
につき、深所を段段(だんだん)埋め上げ浅瀬に仕立
て、滞(とどこお)り無くあい(相)渡り申し候
一 同日昼休み、板倉右衛門佐(えもんのすけ)様御領分
備中板倉(いたくら)村に休み申し候
一 備中矢田(やた)村へは御郡(こおり)目付井上左平太
(いのうえさへいた)御差し出し象の後(あと)を押さえ、
岡山万(よろず)町口迄まか(罷)り越し候
御郡(こおり)奉行
備中御領分へ 西村久五兵衛(にしむらきゅうごべえ)
同
津高(つだか)郡へ 雀部佐右衛門(ささべすけえもん)
同
御野(みの)郡へ 香川亦左衛門(かがわまたざえもん)
一 十三日の晩、岡山栄(さかえ)町に泊る
一 十四日森下口(もりしたぐち)より片上(かたかみ)迄
御郡目付高畠惣七郎(＊たかはたそうしちろう)象の
後(あと)押えつかまつ(仕)りまかり越し候
一 同日昼休み上道(じょうとう)郡沼(ぬま)村、象小屋
は先達(せんだっ)て用意申し付け候、同日一日市
(ひといち)村にもしばら(暫)く休み申し候、象