大正15年5月 岡山県案内写真帖
14 和気郡伊部町陶器製作の光景
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◆文字 和気郡伊部町陶器製作の光景
伊部焼の濫觴は遠く神代に発し天正文録の頃名工輩出最隆盛を極めたり
しが尓来稍衰運に向へり現在一箇年の産額約二十万円とす

◆説明  「和気郡伊部町陶器製作ノ光景」について
備前焼は丹波焼、信楽焼、瀬戸焼、常滑焼、越前焼とともに中世六古窯の1つ。邑久郡の須恵器の伝統を受けて12世紀に焼き始められたという。備前国伊部村を中心に焼かれており、伊部焼とも呼ばれる。
南北朝から室町時代に壺、すり鉢、甕などを生産の主流として西日本を中心に広く伝播した。桃山時代になると茶陶や食器の生産も本格化してきた。
江戸時代になると有田焼などの施釉陶磁器窯や各藩の窯場が誕生・発展したため、備前焼の生産は下降し始める。また、明治〜大正期は備前焼が最も衰退した時代であった。
昭和初期、全国的な運動として桃山陶芸を再認識し、古窯の作風を復活させようとする動きが生じた。これを受け、備前焼では金重陶陽、藤原啓、山本陶秀らがリーダーとなり、いずれも人間国宝(国指定重要無形文化財保持者)に認定されている。その後も藤原雄、伊勢崎淳が人間国宝に認定されるなど、備前焼は岡山県を代表する工芸品・美術品となっている。

◆参考文献  「和気郡伊部町陶器製作ノ光景」について
『新版 備前焼入門』 上西節雄・周藤道生著 山陽新聞社 1990
『「備前焼一千年の流れ」展』 朝日新聞社文化企画局大阪企画部 1991

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 〔岡山県立図書館メディア工房〕
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