市制・町村制に移行した直後から岡山県下では町村の再編が２０年近くにわたり頻繁に行われた。中でも１８９９（明治３２）年以降の１０年間は４０件をこえる合併が行われ、５０をこえる町村がなくなっている。本地図はこの再編が一段落した頃の地図で、１９０７（明治４０）〜１９０８（明治４１）年にかけて村制から町制へ移行した成羽町、勝山町、下津井町、総社町までが記載されている。岡山県下ではこれ以降、町村再編はほとんど行われない。一般的には地図が刊行される理由として行政区の再編、鉄道など新しい交通網の整備などがある。本地図が刊行された１９１０（明治４３）年４月２５日より遅れること数十日後の６月１２日に宇野線が開通した。当然、刊行時は未開通であるが、地図では開通扱いで実線で記載されている。この地図の刊行の背景にはこの宇野線開通が一つの契機となっているかもしれない。

続きを閉じる