(三十) 【解読文】 御国より東ニ而象ニ行逢申候ハヽ、状箱 役人通詞江可渡旨、御国より東ニ而 行逢不申候ハヽ、拙者共江指出候様ニ御申 含被差越候間、御当地迄之内ニ而象ニ 逢不申候ハヽ、御当地ニ差置、象参候節 相渡させ、役人請取手形為取越候ハヽ、 出雲守殿江可被差出由、委細御紙 面逐一令承知候、状箱并各方より 役人江之添状一封共慥ニ拙者手前ニ 預り置申候、象御領分江参候ハヽ、右状箱 并各より之添状共御歩行之者ニ持参 仕せ慥ニ相渡させ、請取手形取せ進可 申候、象通り候先触今日到来申候、 凡来月十三、四日比ニ而も可有之哉と 申儀ニ候、右相達候段可申進と、態 七日着之御飛脚差立、如此候、恐惶謹言 【読み下し文】 御国より東にて象に行き逢い申し候(そうら)わば、 状箱(じょうばこ)役人・通詞(つうじ)へ渡すべき旨 (むね)、御国より東にて行き逢い申さず候わば、 拙者(せっしゃ)どもへ差し出し候(そうろう)ように 御申し含め差し越され候あいだ(間)、御当地迄の 内にて象に逢い申さず候わば、御当地に差し置き、 象参り候せつ(節)あい(相)渡させ、役人受取手形 取り越させ(為)候わば、出雲守(いずものかみ)殿へ 差し出さるべき由(よし)、委細御紙面逐一(ちくいち) 承知せしめ(令)候、状箱並びに(并)各方(おのおのがた) より役人への添状一封(いっぷう)とも慥(たし)かに 拙者手前に預かり置き申し候、象御領分へ参り 候わば、右状箱並びに各(おのおの)よりの添状とも 御歩行(かち)のものに持参つかまつ(仕)らせ、慥かに あい渡させ、受取手形取らせまいら(進)せ申すべく候、 象通り候先触(さきぶれ)今日到来申し候、およ(凡)そ 来月十三、四日ごろ(頃)にてもこれあるべきやと申す 儀に候、右あい達し候段申しまいらすべきと、わざ(態) と七日着の御飛脚差し立て、かくのごとく(如此)候、 恐惶謹言(きょうこうきんげん) |