(五) 【解読文】 酉二月 一 長崎御奉行三宅周防守殿御廻状左之 通、附庭瀬并立野往返之書状共 猶以来月中ニ各御領中象可致旅行候、 以上 今般当地より象一疋摂州大坂迄宰領 相添牽登せ申候、各御領内罷通候ニ付、 急度道々警固被御申渡候之儀者 御無用御座候、然共、珍敷生類故、所々 及群集相障候儀可有之候間、其御心得 御申渡、将又右象道法多歩行不申候 間、本宿之外民家ニ茂止宿致候儀 可有之候、馬宿様之所にて一夜宛之 儀可罷成候間、態々御取繕等之儀ニ者 不及候、川々大概之川者渡り申候、浅キ瀬 御案内御申付可有之候、馬越申程之事 【読み下し文】 酉二月 一 長崎御奉行三宅周防守(すおうのかみ)殿御廻状 (かいじょう)左(さ)の通り、附(つけたり)、庭瀬 (にわせ)並びに(并)竜野(たつの)往返の書状とも なお(猶)以て来月中に各(おのおの)御領中象 旅行致すべく候(そうろう)、以上 今般、当地より象一匹、摂州(せっしゅう)大坂迄 宰領(さいりょう)あい(相)添え牽(ひ)きのぼ(上)せ 申し候、各(おのおの)御領内まか(罷)り通り候に つき、きっと(急度)道道(みちみち)警固(けいご) 御申し渡され候の儀は御無用にござ(御座)候、 しか(然)れども珍しき生類(しょうるい)ゆえ(故)、 所所(しょしょ)群集に及び、あい障(さわ)り候儀 これあるべく候あいだ(間)、その御心得御申し 渡し、はたまた(将又)右象道程(みちのり)多く 歩行(かち)申さず候あいだ、本宿(ほんじゅく)の ほか民家にも止宿(ししゅく)致し候儀これある べく候、馬宿様(よう)の所にて一夜宛の儀まかり なるべく候あいだ、わざわざ(態態)御取繕い等の 儀には及ばず候、川川(かわがわ)大概の川は渡り 申し候、浅き瀬御案内御申し付けこれあるべく 候、馬越え申すほどの事 |