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(六)

【解読文】

    候ハヽ、船者被差出ニ不及候、勿論船ニ而
    無之候得者難渡川者、馬三、四疋も乗せ
    申程之船ニ而候へ者能御座候、泊々其外
    野合ニ而、草、笹葉、米ノ粥等飼申候、所々ニ而
    宰領之者相調代払可申候、右之趣
    御領内公役ニ被致候様ニ与申進候訳ニ者
    無之候へ共、珍敷生類故、御用之儀
    差支不申候之様ニ致度、如斯候、御在城之
    御方ニ者此段各執達、御領中御申
    渡可有之存候、此書状御領内次ニ御順達
    頼入存候、以上
               長崎
                三宅周防守 
                     印判
      三月朔日
     松平長門守殿
         御家老中
     毛利甲斐守殿
         御家老中
     毛利但馬守殿
         御家老中


【読み下し文】

    候(そうら)わば、船は差し出さるるに及ばず
    候(そうろう)、勿論(もちろん)船にてこれなく
    候えば(得者)渡りがた(難)き川は、馬三、四匹
    も乗せ申すほどの船にて候えばよ(能)くござ
     (御座)候、泊泊
(とまりとまり)そのほか野合(のあい)
    にて、草、笹の葉、米の粥(かゆ)等飼い申し候、
    所所(しょしょ)にて宰領(さいりょう)の者あい(相)
    調え代払い申すべく候、右の趣(おもむき)御領内
    公役(くやく)に致され候ようにと申しまいら(進)
    候訳にはこれなく候えども、珍しき生類(しょうるい)
    ゆえ(故)、御用の儀差し支え申さず候のように致
    したく(度)、かくのごとく(如斯)候、御在城の御方
    にはこのだん(此段)(おのおの)執達(しったつ)
    御領中御申し渡しこれあるべく存じ候、此書状
    御領内つ(継)ぎに御順達頼み入り存じ候、以上
               長崎
                三宅周防守
(すおうのかみ) 
                     印判
      三月朔日
(さくじつ)
     松平長門守(ながとのかみ)殿
         御家老中
     毛利甲斐守
(かいのかみ)殿
         御家老中
     毛利但馬守
(たじまのかみ)殿
         御家老中