左頁の拡大】 【頁の拡大】 【右頁の拡大


(五十)

【解読文】

      牛馬等通り筋へ出し不申、野相ニ而も
      見へかゝりニ差置不申、犬猫をもかけ
      置候様ニとの御事
   一 通り筋家々簾を釣、或戸口ヲ〆、家内
     人集り候体見へ不申様ニ御触之由

    右之通御座候間、御当地ニ而も辻々罷出見物
    仕候儀、堅ク御留被成可然哉、尤野相へ見
    物ニ出候義も御留可被成哉之事
   一 犬猫をもつなき候事、広嶋之通御当地も
     可申付候哉
   一 広嶋ニ而ハ寺々ノ鐘、太鼓、鉄砲等、其外
     音高キ事ハ御差留被成候由、御当地も此
     通被仰付可然奉存候、左候得ハ頃日伺之通
     若出火有之候ハヽ、早鐘之代り之喚鐘
     連昌寺、酒折之早鐘も相止メ、町
     送りニ仕せ可申哉之事
時ノ鐘も当日栄町ニ泊候前より
                   翌朝森下へ参候迄相止可申候



【読み下し文】

      牛馬等通り筋へ出し申さず、野相(のあい)にて
      も見えがかりに差し置き申さず、犬猫をもかけ
      置き候(そうろう)ようにとの御事
   一 通り筋家家(いえいえ)(すだれ)を釣り、ある(或)
      
は戸口(とぐち)をし(閉)め、家内人集り候体(てい)
      
見え申さぬように御触れの由(よし)

    右の通りござ(御座)候あいだ(間)、御当地にても辻辻
    (つじつじ)まか(罷)り出(い)で見物つかまつ(仕)り候儀、
    堅く御留めなされ然(しか)るべきや、尤も、野相(のあい)
    へ見物に出で候義も御留めなさるべきやの事
   一 犬猫をもつなぎ候事、広島の通り御当地も申し付
     くべく候や
   一 広島にては寺寺(てらでら)の鐘、太鼓(たいこ)、鉄砲
     等、そのほか音高き事は御差し留めなされ候由、
     御当地もこの(此)通り仰(おお)せつけられ然るべく
     存じたてまつ(奉)り候、左(さ)(そうら)えば(得者)
     頃日(けいじつ)伺いの通りも(若)し出火これあり候
     わば、早鐘(はやがね)の代わりの喚鐘(かんしょう)、
     並びに(并)連昌寺(れんじょうじ)、酒折(さかおり)
     早鐘も相止め、町町(まちまち)申し送りにつかまつ
     らせ申すべきやの事 時の鐘も当日栄(さかえ)町に泊り候前
                  より翌朝森下(もりした)へ参り候
                  あい止め申すべく候