(五十二) 【解読文】 一 川渡之事 舟渡之場所前廉伺之通広嶋并下方角同事ニ 御座候 追而之注進ニ舟ハ渡り不申候、五丁、拾丁廻り候而も 浅瀬之所四尺斗有之ハ渡り申候、土俵ヲ以両方ヲ 築寄せ土橋ヲ丈夫ニかけ可申候由 一 象泊宿番所之事 広嶋ニ而者厩左右ニ仮番所弐ヶ所被仰付、 御足軽番仕候由 御当地ニ而者先日相伺候通仮番所壱ヶ所 申付、町方ニ而ハ御足軽弐人差置申候 在中之泊ニ而者仮番所ニ名主・五人組頭 差置相済可申与奉存候 一 象止宿之内ハ栄町上下之門ヲ打、往来 之者中山下へ通し可申候 一 象之先触者泊付斗ニ而御座候へとも、広嶋 ニ而者昼休ミニ可成場所ニ軽キ支度等之 用意被仰付候由、御当地ニ而も右之心得ニ可仕候哉 【読み下し文】 一 川渡しの事 舟渡しの場所前廉(まえかど)伺いの通り広島並びに (并)下(しも)方角同事(どうじ)にござ(御座)候(そうろう) 追っての注進(ちゅうしん)に舟は渡り申さず候、五町、十町 廻り候(そうらい)ても、浅瀬の所四尺(しゃく)ばか(斗)りこれ あらば渡り申し候、土俵を以て両方を築き寄せ、土橋を 丈夫(じょうぶ)にかけ申すべく候由(よし) 一 象泊り宿番所の事 広島にては厩(うまや)左右に仮番所二カ所仰(おお) せ付けられ、御足軽(あしがる)番つかまつ(仕)り候 由 御当地にては先日あい(相)伺い候通り仮番所一カ所 申し付け、町方(まちかた)にては御足軽二人差し置き 申し候、在中(ざいちゅう)の泊りにては仮番所に名主 (なぬし)・五人組頭(ごにんぐみがしら)差し置き、あい 済まし申すべきと在じたてまつ(奉)り候 一 象止宿(ししゅく)の内は栄(さかえ)町上、下(かみ、しも) の門を打ち、往来の者中山下(なかさんげ)へ通し申す べく候 一 象の先触(さきぶれ)は泊付(とまりづけ)ばかりにてござ 候(そうら)えども、広島にては昼休みになるべき場所 に軽き支度(したく)等の用意仰せ付けられ候由、御当地 にても右の心得につかまつるべく候や |