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(五十四)

【解読文】

    一 蟻、鼠、牛馬、犬、猫嫌申候哉之事
       広嶋御城下前日より繋申候、尤小鳥
       等迄外へのけ申候
       蟻、鼠、犬、猫嫌不申候、尤牛馬ヲ嫌申候
    一 御城下通り筋簾かけ申候
       附、玖波、小方、二十日市、草津、此所者簾懸
       申由、尤下国ニ而はつさせ申所も有之由
       承申候
    一 象広嶋へ去ル六日之晩七つ時前着、七日之
      朝五つ半時出足仕候
    一 広嶋町並見物之者簾之内ニ静ニ居申候、
      たはこノ煙、又者其外煙出シ不申様ニ御座候
       翌朝者簾取せ申候、見物人多ク見へ申候
    一 野間ニ而見物并人留〆り之事
       見物道ノ脇横筋ニ居申候、右〆り頭百姓与
       相見へ裁判仕候


【読み下し文】

    一 蟻(あり)、鼠(ねずみ)、牛馬(ぎゅうば)、犬、
      猫嫌(きら)い申し候(そうろう)やの事
       広島御城下前日より繋(つな)ぎ申し候、
       尤も、小鳥等迄外へのけ申し候
       蟻、鼠、犬、猫嫌い申さず候、尤も、
       牛馬を嫌い申し候
    一 御城下通り筋簾(すだれ)かけ申し候
       附(つけたり)、玖波(くば)、小方(おがた)
       二十日市(はつかいち)、草津(くさつ)
       この(此)所は簾(すだれ)(か)け申す
       由(よし)、尤も下(しも)国にてはずさせ申
       す所もこれある由承(うけたまわ)り申し候
    一 象広島へ去る六日の晩七つ時前着(ちゃく)
      七日の朝五つ半時出足(しゅっそく)つかまつ
       (仕)り候
    一 広島町並(まちなみ)見物の者簾の内に静かに
      お(居)り申し候、たばこの煙、またはその
      ほか煙出し申さぬようにござ(御座)
       翌朝は簾取らせ申し候、見物人多く見え
       申し候
    一 野間にて見物並びに(并)人留(ひとど)め締(〆)
       
りの事
       見物道の脇横筋におり申し候、右締り
       頭(かしら)百姓とあい(相)見え裁判(さいばん)
       つかまつり候