１８８８（明治２１）年〜１８８９（明治２２）年にかけて実施された市制・町村制は、国主導の急激な移行に現場ではとまどいや反発も多く、しばらくは合併、分村が続いた。結果として合併の動きが収まり制度が落ち付くまでには２０年近くかかることになる。岡山県下も例外ではなく、多くの村々が合併を行い、新しい町村が成立していった。１８９６（明治２９）年には１３村が町制へ移行、１村が村名を変更して町制へ移行している。またこの年には県境の変更も行われている。すなわち美作国吉野郡石井村、同郡讃甘村大字中山が播磨国佐用郡の編入となった。本地図は１８９７（明治３０）年に再版されたものであるが、１８９６年の村から町制への移行の変更は訂正されておらず、初版１８９４（明治２７）年当時のままである。その一方、県境の変更は行われている。このことからこの地図の再版の第一の目的は、県境の修正にあったと考えられる。

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