『備中国下道郡尾崎村畑岡絵図』は字体の特徴や家の描き方から『備中国下道郡川辺宿絵図』、『川辺宿本陣絵図』、後述の『尾崎村蓮華寺絵図』（ＫＭ３９３／１／４）と同一の人物の手によるものだと考えられる。尾崎村（現吉備郡真備町尾崎）は川辺宿の西に位置し、畑岡は山陽道沿いの集落である。蓮華寺は蓮花寺のことであり、備中お大師巡りの二十三番札所に数えられる。『尾崎村蓮華寺絵図』の玄関の６畳を除いた畳数と『備中国下道郡尾崎村畑岡絵図』の蓮華寺の畳数は一致する。『備中国下道郡川辺宿絵図』と『備中国下道郡尾崎村畑岡絵図』は明らかに収容人数を調査したものであり、元来宿場ではない尾崎村まで調査していることから今までにない人数の収容が想定される。『吉備郡史　中巻』所収の板倉宿略絵図も同時期のものであろう。いずれの絵図も入り口が東に設定されており、東から西への移動を念頭にいれていると考えられる。したがって元治元年（１８６４）、慶応２年（１８６６）の長州征討のために作成された絵図の可能性があるだろう。

出版年不明

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