幕末の歌人藤井尚澄(なおずみ)(?〜1850)が編纂し、同じく歌人・国学者の藤井高枝(高雅(たかつね))が校閲して、嘉永3年(1850)に大坂の河内屋喜兵衛・河内屋儀助から出版された歌集。上・下2巻から成る。「上」には春部・夏部・秋部、「下」には恋部・雑部が収められ、歌の総数は2千数百首におよぶ。収録されているのは、藤井高尚(たかなお)(1764〜1840)・菅茶山(かんちゃざん)(1748〜1827)・小寺清先(きよさき)(1748〜1827)・澄月(ちょうげつ)(1714〜98)・業合大枝(なりあいおおえ)(1791〜1851)・平賀元義(もとよし)(1800〜65)・片岡春及(しゅんきゅう)(彦輔、1761〜1843)・小野務(1787〜1854)・木下幸文(たかふみ)(1779〜1821)・森寺美郷(もりでらみさと)(1800〜61)・緒方章(洪庵(こうあん)、1810〜63)ほか、吉備地方のさまざまな人々の和歌。KW911/1は上・下を1冊に綴じ、KW911/5/1・2は上・下巻が独立して2冊から成る。「はし書」は藤井高枝。なお、KW911/1には巻頭に、また、KW911/5/1・2では巻末に、弘化5年(1848)の備中松山藩士・漢学者山田球(方谷(ほうこく))の序がある。
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