慶応２年（１８６６）４月、立石孫一郎（大橋敬之介）ら長州第二奇兵隊の脱走隊員が倉敷代官所と浅尾藩陣屋（現総社市浅尾）を焼き討ちした倉敷浅尾騒動とよばれる事件のいきさつを記したもの。著者は本城新（温）。自序に慶応２年（１８６６）８月、撫川（なつかわ）（岡山市撫川）の望故山楼で記したとあり、事件の４ヶ月ほどのちの著作。本城温は岡山藩家老池田伊賀（備前周匝）の家臣であったが、故あって浪人し、慶応（１８６５〜６７）のころ撫川に来て、庭瀬藩戸川氏の家臣となり、藩士の教育のかたわら私塾を開いていた。事件の中心人物立石孫一郎（大橋敬之介）は本城の門人であったという。「風窓紀聞附録備中騒動記」（ＫＷ２３０／６）と同（ＫＷ２３０／８）は同筆。筆者は本城新（温）本人か。いずれも上・下を１冊に仕立てたもので、ＫＷ２３０／８は若干の朱筆による訂正や加筆があり、草稿本と考えられるもの。ＫＷ２３０／６が浄書本と考えられる。なおＫＷ２３０／６は上下が逆に閉じられている。本書は『岡山県史』第二十七巻「近世編纂物」に翻刻、収録されている。（文責：岡山県立図書館）

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