巻頭に添えられた明治期の郷土史研究家塚本吉彦（１８３９〜１９１６）の注記によると、本書は、塚本が成田元美（もとよし）（１８３１〜８３）から贈られた成田の祖父旧岡山藩士成田鐵之進充美編の「備前古器物図集」と、片山恭元から贈られた片山の祖父旧岡山藩士片山七之丞恭春編の「吉備古器物図会増補」を合冊したものという。「備前古器物図集」は岡山藩士斎藤一興（さいとうかずおき）（１７５７〜１８２３）が編著した「備藩古器物図巻」の漏れを成田充美が拾補したものといい、巻頭には、斎藤一興の「備藩古器物図巻」に付けられた武元恒（君立）の序文「書備藩古器図巻首」の自筆草稿と、斎藤一興自筆の朱筆の付箋が貼られている。「備前古器物図集」は、邑久郡上寺八幡社蔵古鎧・邑久郡千手山蔵腹巻と古器物・和気郡野吉村安養寺蔵古面・御野郡銘金山蔵古器物ほかを、図示・解説したもの。「吉備古器図会増補」は、瓶井（みかい）禅光寺蔵東照宮金蒔絵・邑久郡千手山弘法寺蔵鼎（かなえ）・上道郡西大寺村中野屋蔵浦上宗景腹巻・上道郡金陵山西大寺蔵硯ほかを図示・解説したもの。「吉備古器図会増補」は、瓶井（みかい）禅光寺蔵東照宮金蒔絵・邑久郡千手山弘法寺蔵鼎（かなえ）・上道郡西大寺村中野屋蔵浦上宗景腹巻・上道郡金陵山西大寺蔵硯ほかを図示・解説している。（文責：岡山県立図書館）

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