後に岡山県立図書館が付けた表紙には、「蕃山先生和歌」とあるが、明治期の郷土史研究家塚本吉彦(1839〜1916)が付けたと思われる元の表紙では、下記の4件の表題が併記されている。熊沢蕃山関係の4件の資料を書き写して1冊にまとめたもの。(1)蕃山先生和歌 附先生保侶箙之図…熊沢蕃山の和歌と、蕃山が大和国三輪社(現奈良県桜井市に鎮座する大神(おおみわ)神社)に奉納したという保侶箙(えびら)の図。巻末に、保侶箙之図は、安永9年(1780)に草加親賢らが三輪社の神殿で写した図を、天明元年(1781)に南畝子が写したと付記されている。本書は、南畝子が書き写した図を写したもの。(2)岡山師覚書…蕃山の教えを箇条書きに記したもの。巻末に、安東氏所蔵本を寛政12年(1800)に林氏が写したものとあり、本書はその写本。(3)熊沢氏覚書…熊沢蕃山の慈仁浅深論、琴之證歌、心学十戒など評論の写し。安東氏所蔵本を寛政12年に林氏が写したもの。本書はその写本。(4)重山先生略伝…熊沢了介(蕃山)の略伝。(1)・(2)・(3)は同筆、井上通泰(みちやす)(1866〜1941)による写本か。(4)には「岡山県地理歴史調査用紙」が使用されている。(文責:岡山県立図書館)
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