吉備津神社の祀官で国学者の藤井高尚（１７６４〜１８４０）が、寛政７年（１７９５）３月に郷谷へ出かけた時の紀行。写本。郷谷は豪渓（ごうけい）（総社市から賀陽町にまたがる槙谷川上流の渓谷）のこと。道すがら和歌や漢詩を詠み、帰路には井山宝福寺（現総社市井尻野）へ立ち寄っている。終りに、藤井高尚のほか、賀夜（かや）惟徳・斎藤一明・堀家（ほりけ）常直の和歌、藤井亀・藤井篤の漢詩がまとめられ、「鸚鵡（おうむ）石」・「郷谷」・「岩畳」の絵図３枚が付けられている。筆写された年代、書き写した人物とも不明。巻末に、吉備史談会の創始者井上通泰（みちやす）（１８６６〜１９４１）が、「原本ハ三宅甲造氏（大藤高雅三男）所蔵　明治四十四年十一月校合　通泰」と明治４４年（１９１１）に校合したことを記している。朱筆は、井上通泰が校合の時に書き入れたものと思われる。（文責：岡山県立図書館）

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