「備前国邑久郡牛窓御香宮神功后宮御鎧」のほか4件の甲冑や出土遺物についての報告書5件の写本。表紙に「成田鉄之進」の名前があり、記事の中に岡山藩士土肥経平(1707〜82)の名前が見えることから、土肥の記録を成田が写したものと推測される。成田鉄之進(充美、1764〜1830)は江戸後期の岡山藩士。幕末の志士成田元美(1829〜83)の祖父にあたる。1、「備前国邑久郡牛窓御香宮神功后宮御鎧」は牛窓五香宮に伝来する「黒韋威鎧」(岡山県指定重要文化財)についての詳細な記録。奥書に「御香宮神前拝見謹草稿 土肥経平考」とある。2、「備前国津高郡野々口ニテ堀出ス太刀并矢ノ根」には「宝暦九年(1759)六月是ヲ見ル」とある。見たのは土肥経平か。3、「備前国邑久郡豊原庄上寺佐々木盛綱鎧兜」は豊原北島神社蔵の「色々威甲冑」(重要文化財)についての図入りの詳細な記録。『吉備群書集成』第五輯に「佐々木盛綱鎧兜」として収められている。4、「浦上紀宗景腹巻大袖喉輪」は西大寺の中野屋惣七が預かり所持するものを、宝暦9年(1759)に見て記すとある。これも見たのは土肥経平と思われる。5、「備前番指物」は池田家の番指物(軍事編制にあたって与えられた背中に指す小旗)の由来を記す。(文責:岡山県立図書館)
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