興除新田は、現在の岡山市南区東畦・内尾・中畦・曽根・西畦のほぼ旧児島郡興除村域にあたる地域に、児島湾を干拓して出来た新田で、文政6（1823）年に完成した。「興除新田紀」は岡山藩の留帳方が興除新田の開発計画のはじまりから完成に至るまでのいきさつを各部門別に、体系的に編纂したもので、完成は首巻の日付によれば、文政8（1825）年6月である。本書は全13巻（首巻・1～12巻）から成るが、県立図書館所蔵本は、11巻を欠いている。
　各巻の構成は次のとおりである。
首：故事・大目次／１：開発企内談之部／２：御見分目論見之部／３：御会釈向之部／４：御贈物之部／５：御国方諸役人之部／６：干潟之部／７：東西用水路之部／８：御預所之部／９：江府文談之部／１０：大阪文談之部／１２：図書目次
　この他に、後篇壱１巻と付図（５枚の内の内尾部分）がある。
　県立図書館所蔵本は、岡山藩当局において編纂されたもので、岡山県庁から県立図書館に移管された。「池田家本」等、現在６組所在する新田紀のうち、記述内容が詳細である点、引用資料が豊富である点、及び編纂後にさらに加筆されている点等で、資料的価値がきわめて高いとされている。
※参考文献『岡山県史第27巻　近世編纂物』（岡山県史編纂委員会編纂　1981年）（文責：岡山県立図書館）

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