岡山市中の地誌。上・中・下には表紙に朱筆で「最初草稿」とあり、本文中に多くの加筆・修正の跡が認められるので、初稿本と考えられる。用紙は岡山県の罫紙。県治に備前全国８郡、備中全国１１郡、美作全国１２郡とあることから、成立は明治９年（１８７６）以降。「備前地誌」（ＫＷ２９１．１／２／１〜３）は本書のうち上・下を添削したものに「奨善録」を追加したと推定される。「備前地誌」（ＫＷ２９１．１／２／１〜３）参照。「上巻」は、岡山市中の沿革・県治・城郭・管轄沿革・幅員・里程・地勢・税地・貢租・町数・戸数・人数・牛馬・舟車・山・川・橋・道路・墳墓・神社・寺・学校・病院・電線・郵便所・民業の項目から成る。記事に重複があり、数字を欠くものもあるが、ほぼ明治８年（１８７５）６月の明治政府の通達「皇国地誌編輯例則並ニ着手方法」にならったと考えられる。「中巻」では「市街位置」と題して岡山市中各町の規模、県庁までの距離、隣接する町名を掲げる。「下巻」は、「岡山地誌附録」と題し、上・中巻の記事を補完するもの。「付録」は「中巻」の「市街位置」を書き写したものに、郷土史研究家塚本吉彦が「備前国岡山地誌附録」と表題を付けたもの。（文責：岡山県立図書館）

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