〔製作年不明〕
書写資料
古川古松軒が天明3年(1783)一人で九州を巡った旅の紀行。7巻7冊。写本。写本された時期、写した人物とも不明。巻頭には、寛政11年(1799)の菅茶山(かんちゃざん)(1748〜1827)の序文がある。記事は、天明3年3月末園のさと(現真備町)を出発、最後(巻之七の巻末)は「一の宮珍国寺に参詣し、再ひ小倉に至り、大坂や徳兵衛といへるにやとりぬ」で終わる。菅茶山の序文があることのほか、文字も挿絵も丁寧に写されており、出来のよい写本である。古川古松軒(1726〜1807)は備中国下道郡新本村(現総社市新本)に生まれ、のち岡田(現真備町岡田)に住んで薬種業を営んだ。実証的地理学者として知られ、寛政元年(1789)老中松平定信に謁見し、寛政6年(1794)に武蔵国の地理を調査した功績で、翌年郷里の岡田藩主伊東長寛(ながとも)から士分に取り立てられた。代表的な著作に「西遊雑記」のほか、「東遊雑記」がある。「西遊雑記」は、『吉備文庫』第五輯、『近世社会経済叢書』第五巻、『日本紀行文集成』第一巻などに収録されている。(文責:岡山県立図書館)
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