(二十七) 【解読文】 此度当御地江象参候ニ付、其御地通り候節、 若栄光院様被遊御覧候様ニ御座候ハヽ、 町筋ニ而相応之所無御座候由、町会所江 森下町大格子付候番所屋敷か、又者二本 松茶屋辺ニ而も其節被仰談候様ニ 可有御座哉、此段兼而御内意御伺置 被成度思召候間、相達御耳御趣意 可申上之旨、右之通ニ而も御端近御座候へ共、 殿様御出被遊候と者違、御隠居之御婦人様之 御事御座候間、苦ヶ間敷と被思召、右 御伺置被為成候旨、委細御紙上之趣 奉得其意、則御紙上ヲ以相達 御耳相伺候処、象御覧被遊候儀 栄光院様思召次第之儀、尤御覧被為成 思召ニ候ハヽ、場所之儀も被仰下候場所之内 いつれニ而成共、是又栄光院様思召 【読み下し文】 このたび(此度)当御地へ象参り候(そうろう)につき、 その御地通り候せつ(節)、も(若)し栄光院(えいこういん) 様御覧(ごらん)遊ばされ候ようにござ(御座)候わば、 町筋にて相応の所ござ無く候由(よし)、町会所(まち かいしょ)か、森下(もりした)町大格子(おおごうし)付き 候番所屋敷か、または二本松(にほんまつ)茶屋辺にて も、そのせつ仰(おお)せ談じられ候ようにござあるべ きや、このだん(此段)かね(兼)て御内意(ないい)御伺い おきなされたく(度)恩(おぼ)し召し候あいだ(間)、御耳 にあい(相)達し御趣意(しゅい)申し上ぐべきの旨(むね)、 右の通りにても御端近(はしぢか)にござ候(そうら)え ども、殿様御出(おい)で遊ばされ候とは違い、御隠居の 御婦人様の御事ござ候あいだ、苦しがましき(ヶ間敷) と思し召され、右お伺い置きなさせ(為)られ候旨、 委細御紙上の趣(おもむき)その意得(え)たてまつ(奉)り、 すなわ(則)ち御紙上を以て御耳にあい達しあい伺い候 ところ(処)、象御覧遊ばされ候儀、栄光院様思し召し 次第(しだい)の儀、尤も、御覧なさせらるる思し召し に候わば、場所の儀も仰せ下され候場所の内いずれ にてなりとも、これまた(是又)栄光院様思し召し |