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橋梁

井原線の橋梁は269か所あるが、架道橋・高架橋が230か所、いわゆる橋梁が39か所である。もっとも長いのは清音・川辺宿駅間
の「高梁川橋梁」716.3m、ついで荏原・井原駅間の「小田川橋梁」350mである。
「高梁川橋梁」は新技術を用いた特徴ある橋梁で、3つの特徴が認められて、平成5年度の「土木学会技術賞奨励賞」に選定された。
 
高梁川橋梁を渡る
                   日本中でもたいへん珍しい特徴を持つ「高梁川橋梁」長さ716m、8径間のトラス橋

                特徴の1  カーブをしながら橋梁にかかり、途中直線区間を経て、再度カーブをしながら高梁川を渡りきる。
                特徴の2  橋梁上は716mの全線ロングレールで、民鉄・第3セクター路線では珍しい。  
                特徴の3  構造材料が全部無塗装耐候性の鋼材で、一見錆びているかに見えるがそうではない。

 特徴の1 清音駅を出た列車は急カーブ(R=400)で堤防に到達した時には、まだ川に直角になるまでには曲がり切れずにカーブしたまま曲率半径R=600で橋梁にかかる。中間の直線部分を経て、再びR=600で右カーブして渡り切る。そのあとは一直線に稲田を二つに割って勾配を下り、川辺宿駅に到達する。R=400は井原線の中で最急のカーブである。通常橋は川に直角になる様ににかけられるものであり、ここは全国でも珍しいカーブ鉄橋なのである。しかもその度合いはかなり急である。平成5年度の土木学会技術賞奨励賞に選定されている。 
 特徴の2 清音駅を外れるまでの複雑な分岐を通過するガタンガタンというレール音が、規則的な通過音に変わって33パーミルの勾配を上る。登りきったところでこの規則的な通過音はなくなり、新幹線に乗っているようなシャーという音で軽快に川の上を走る。清流を目下に見ながら西側の堤防を越えると再び規則的なレール音に戻る。敷設時には橋上で溶接したという。堤防を上る時の勾配33パーミルは井原線内で最大の勾配である。ケーブルカーを除いては日本でも最大である。かつて山陽本線で3重連の蒸気機関車が牽引した広島県の瀬野・三本松駅間でさえも25パーミルであった。(井原線の場合距離は短い)
 特徴の3 橋桁用鋼材は、耐候性鋼材と称する材料を用いて無塗装で使用されている。これは鋼の表面に保護性の錆(安定錆ともいう)を形成するように設計製作された合金鋼で、防錆塗装をしなくても錆が進行しない。表面層は緻密で内部まで腐食されず、色は茶褐色で美しいが、それと知らない人には普通の錆と誤解されるおそれもある。それを避けるためにあえて塗装されることもあるが、ここは無塗装で使用している。更に鋼材の素原料も電炉鋼材(スクラップ鉄を用いて電気炉で溶解して作る。高炉鋼材と対比した言葉)を主部材にも使用している。



高梁川橋梁の風景

堤防道路から高梁川橋梁遠景 橋梁を渡る井原線 水面に映る美しいトラス
カーブする橋梁遠景 カーブする橋梁近景 橋梁下をくぐる堤防道路から
橋梁構造 水田地帯を行く高架橋 川辺宿側からの高梁川橋梁全景
清音側から橋梁にかかる最初のカーブ 橋梁中央直線部分 川辺宿側渡り切る前のカーブ

トラス橋・・・高梁川橋梁の構造

 鉄骨構造は大きく3種類に分けられ、柱、梁、筋交いを利用したブレース構造、柱と梁を完全に固定(剛接合)して筋交いを不要としたラーメン構造、ピン接合をした柔構造だから三角形を多数組み合わせた形となっているトラス構造がある。
高梁川橋梁は美しい三角形が並ぶトラス橋である。スパン割を詳しく言うと基点から126mの1径間は曲線単純下路トラス、次の3径間は83.7m×3の曲線連続下路トラスが2回繰り返され、最後の1径間81.9mが単純合成下路トラスである。上記の写真でご覧いただけるだろう。
 耐候性鋼材

表面に保護性の安定な錆を形成するように設計された鋼である。塗装せずにそのまま使用してもあまり錆びず、またその錆が比較的緻密で、内部まで腐蝕されない。 メンテナンスや塗装経費が軽減できる。しかし海水は保護層を破壊するから海岸部では塗装することが多い。
無塗装表面は錆の色になるため、それが正常なのを知らない一般の人には不安や誤解を招きやすい。そのため、人目に付く場所に限っては、あえて塗装されることがある。
耐候性鋼材の耐食性は、表面の「錆」によって得られる。耐候性鋼材の基本成分は、Fe-Cu-Cr-Ni-PまたはFe-Cu-Cr-Niである。 耐候性鋼材の表面にある錆層の下部に、Cu、Cr、Niによる極めて緻密な非晶質層が形成され、この非晶質層が錆の進行を抑制する。使用してから保護性錆が形成され、錆の進行が止まる。つまり、錆のバリヤーで外部からの酸素や水による反応を防いでいる。
(R=400) 鉄道の勾配の表わし方

鉄道の勾配は、線路が水平に1000m行った時に、上るまたは下る高さをmで表し、その大きさは千分率(パーミル‰)で表記する。
勾配標は、勾配が始まる地点に立て、表記の数字が見える方から見て上る場合は斜め上向きに、下る場合は下向きに取り付ける。数字はパーミルの数字を記載するが、整数部分より少数部分は小さく表記する。水平を意味する勾配0の場合は、Levelの頭文字Lを表記する。通常下り線の左側に設置する。
ちなみに道路の場合の勾配は右図のようにパーセントで表わすが、鉄道は勾配に弱いのでさほど大きい勾配は取れない為、パーセントで表わすと数字が小さくなりすぎるのでパーミルで表わすという。

(パーミル) 鉄道のカーブの表わし方

鉄道のカーブの度合いは、その部分を円の一部とみなして、その半径で表わす。曲率半径といい、数字の小さいほどカーブの度合いがきついことを示している。
曲線標は白塗りの柱をカーブの始まる地点に設置され、左図の様に表に曲率半径を整数以下切り捨てで記載し裏面にはカント量C、スラック量S、円曲線の長さCCL、緩和曲線の長さTCLが記載されている。ちなみに法令上の鉄道の最大カーブはR=160であり、井原線の高梁川橋梁にかかるまでのR=400は井原線で最も急カーブである。


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