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路線
井原線の典型的な道床・荏原駅車庫付近

この写真は車庫のある荏原駅付近。左が本線で右が車庫入り用の側線。
道床はバラスで、枕木は左本線がPCコンクリート枕木、右側線は木製枕木。 


このページでは、勾配、カーブ、道床、レールという分野で、技術的な特徴や状況を紹介しよう。
 勾配 井原線最大勾配清音駅から500m 井原線全体としては比較的平たんな田園地帯を走るので大きな勾配は少ないが、清音駅から川辺宿駅までは例外である。清音駅を発車して間もなく高梁川の堤防まで一気に勾配を上げる。清音駅から700m地点から堤防地点の1200mまでの500mの間に、標高11mから24mまで高度を上げて橋梁にかかる。その初期に33パーミル、途中から橋にかかるところまで17パーミルで上る。左の図は33パーミルにかかろうとする前面展望である。全線の路線の縦断面図はこちらから。
 曲線 井原線最大曲線・清音駅から700m 高梁川を渡った後、井原線全体としては矢掛までは小田川に沿い、それから神辺までは高屋川沿いを走行する。いずれも蛇行が少なく、鉄道も大きなカーブを描くことはない。この全体の様子の平面図はこちらから。その中では高梁川堤防に達するまで、大きく右にカーブを切るのが井原線で最大である。車両はR=400を走る法定速度限界の時速90kmで堤防にかけ上るが、そこに達しても十分曲がり切れずにR=600のカーブのまま、鉄橋にかかる。カーブしたまま渡る橋は日本でも珍しい。左図はR=400にかかる少し前の展望である。
道床  井原線道床左側線右外側本線 軌道の構造である道床は、2か所の橋梁上を除いてバラスト道床を採用し、枕木はコンクリートPC枕木を使用している。ただレールの継ぎ目や側線部分には木製の枕木を使用する(ページ上部の写真を参照)。道床の厚さは200o以上(側線は150o以上)で、バラスト材料は砕石である。二つの橋梁のうち星田川橋梁ではバラスト道床ではなくスラブ軌道、高梁川橋梁は橋梁の構造体である鋼との直結軌道の構造を採用している。道床の肩幅は本線部分で350oを確保するが、ロングレール区間では400oとしている。
 レール 橋梁上750mのロングレール レールは50KgNレールという、1mあたり50kgの重量のもので、JRの在来線に使用されているものと同じである(側線には40KgNレール。JRローカル線用と同等)。標準の長さは25mで(定尺レールという)継ぎ目板で接続し、軌間1067oで敷設されている。全長633mの高梁川橋梁上は、全部溶接してロングレール区間となっている。その区間ではレールの伸縮を抑えるよう橋梁部材の鋼との直結軌道とし、伸縮継目は両端部分にのみ用いている。したがって橋梁上では、ガタンゴトンという通過音がせず、新幹線のようである。
 
以上の特徴をひと眼で見られるようにした、路線の設計図がある。よく見ないと分かり難いが、それぞれの地形と特徴を総合的に記載してあるので専門家は重宝している図面であり、井原鉄道の施設課からいただいたのでこちらに示した。ゆっくりご覧いただきたい。  
 
 スラブ軌道・バラスト軌道・直結軌道

バラスト軌道とは路盤上に砕石の道床を設け、枕木とレールを設置した軌道で、従来から見られる一般的なものである。これに対しスラブ軌道とは、コンクリート路盤上に軌道スラブと呼ばれるコンクリート製の板を設置しその上にレールを敷設する構造である。直結軌道は道床にバラストを用いず、レールもしくは枕木をコンクリート製の道床あるいは鉄鋼構造物に固定するものである。
バラスト軌道は、軌道に適度な弾性を与え、地盤が沈下したときに補正が行いやすい利点を有している。その一方で、走行する車両による振動でバラストが摩耗して空隙が徐々に埋まり、道床の見かけ上の体積が減少する。これは軌道の沈下、すなわち「軌道狂い」を生じやすいことを意味する。したがってバラスト軌道は、定期的に調整したり、摩耗したバラストは交換を要するなど、その維持のためには保守作業が必要である。
それを軽減するのが直結軌道やスラブ軌道であり、保線作業にかかるコストを抑制することができる。また構造重量も軽いため、高架橋に用いた場合の高架橋への負荷も低減できる。一方バラスト軌道と比べると、路盤とレールの間に減衰効果を生む隙間がなく、さらに表面で反射する音も加わるため列車走行時車両の内外ともに騒音や振動が大きくなる欠点も有する。市街地の地上区間にはあまり採用されなくなってきている。
 
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